学校タブレットの課題 デジタル庁「GIGAスクール構想」アンケート結果26万件を分析
2021年9月1日、デジタル庁が発足しました。社会全体のデジタル化の機運を高めるため、今年から10月10、11日を「デジタルの日」に設定することも話題を呼びました。教育分野に関しては、国が1人1台のコンピューター端末と高速大容量の通信網を整備した「GIGAスクール構想」についてのアンケート結果を発表するなど、早くも存在感を高めています。
デジタル庁が26万件の回答を分析
今回の調査は、デジタル庁の発足に先立つ7月に行われました。GIGAスクール構想について、課題を把握するのが狙いです。子どもから約21万7,000件、大人(教職員・保護者)から約4万2,000件の、合わせて約26万件の回答を、人工知能(AI)を使って分析。結果と今後の方向性を、総務省、文部科学省、経済産業省と合同で取りまとめました。
小学生の困りごとは操作方法
「タブレットを学校等で使っているときに困っていること」を尋ね、その回答を「リテラシー(端末やアプリの操作方法)」「使用規則」「環境(通信)」に分けたところ、校種により違いが見られました。小学生ではリテラシー(40%)が多く、中学生や高校生では環境(それぞれ36%、39%)を課題に感じていることがわかりました。「タブレットをもっと学校で使うために大切なことは」の質問には、小学生は「ルールを守る」「先生の言うことを聞く」などモラルを守ることを重視した回答が多かった一方、中学生や高校生になるにつれて、「タブレットを使う機会を増やす」ことを求める回答が増えています。
保護者は「学習以外の利用」を心配
大人はどうでしょうか。保護者の場合、「学習以外の用途の利用」に課題を感じていることがわかりました。教職員では、「ネットワーク環境が整っていないこと」や「情報モラルが不足」している点を課題に思う割合が多くなっています。また、担当教科で情報通信技術(ICT)の効果的な活用方法がわからないこと(48.9%)や、教職員向けのICT環境が整備されていないこと(38.1%)、特定の教職員に業務負担が偏ること(59.4%)など、学校の抱える懸念も明らかになりました。結果を受けて、同庁などは「ネットが遅くて使いづらい」「持ち帰りさせてもらえない」「教職員用端末のスペックが低い」といった表層的な課題と、その「裏」にある課題の両面に対応していく必要があると指摘し、文科省にとどまらず複数の省庁が、目指す学びの姿や学習内容、指導法を議論すべきだと提言しています。
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